今回ご紹介するのは、宮崎市の中心にある県立平和台公園の森の入り口にある”ひむか村の宝箱”さんです。
ひむか村の宝箱さんでは、宮崎県内の生産者とお客様をつなげるセレクトショップやカフェ、宮崎県内の芸術家による作品を展示・販売する小さなアートギャラリーを展開しています。
「心と身体を癒す 食と文化を森のカフェで」というコンセプトで、宮崎の人たちの情報交換の場、癒しの場となっているお店です。
今回はひむか村の宝箱の店主の岩切宜子さんに店内を紹介していただきながら、お店の歴史や宮崎の生産者さん、商品についてのお話をお伺いしました。
ひむか村の宝箱について
「お店を立ち上げたっていうより、状況的に立ち上がっちゃったっていう感じですよね。」
お店のきっかけを聞くと、岩切さんはこうおっしゃってその当時の新聞を見せてくださいました。
現在のひむか村の宝箱の場所は、元々県営のレストハウスと自動販売機が13台あるだけの場所だったそうです。
そして岩切さんたちは、新聞でこの場所が閉鎖になり、民間委託先を公募していることを知りました。
「宮崎の森の素晴らしさを宮崎の人がほとんど知らない状況が残念だと思った。この宮崎の素晴らしさを親子や様々な人たちに馴染んで平和台を親しみのある場所にしたい。」
そんな思いで岩切さんや霧島の麓で手打ち蕎麦屋を営んでいた蒲生さん、綾町で薬膳茶房を営んでいた郷田さんたち含めた10数名で平和台をどうしようかと話し合い、最初は平和台を守りたいという活動を目的に応募を決めたそうです。
そしてお店でないと県からの許可が降りないと知り、それなら宮崎の方に親しみのあるお店にしたいと思い、茶屋・よろず屋として2005年にオープンしたそうです。
ひむか村の宝箱では「食・文化・くらし」の観点からお店を運営しています。
●食 … 宮崎県産オーガニック素材のお弁当、お菓子、農産物
生産者のことを知った上で食べ物をいただく、安心安全で虫も鳥も土も人間も傷つけない商品を提供するというのを大事にしているそうです。
●文化 … 宮崎在住の作家による芸術作品、工芸品、郷土の書籍
●くらし … 心身ともに豊かになるイベントやワークショップ
森の素晴らしさを子供達に音楽や美術を通して伝えたいという岩切さんの思いが込められています。
きなこイレブンの誕生秘話
きなこイレブンとは、ひむか村の宝箱オリジナル商品です。
熊本産大豆きな粉、喜界島の黒糖、宮崎産のゴマ(みまたんごま)だけを練り込んで作られた栄養満点のお菓子でほんのり甘く、ほっこりとする優しい味です。
【誕生ストーリー】
スポーツ選手は、試合前に力を出すためにチョコレートを食べるそうです。
「日本人なら黒砂糖を食べたらもっと頑張れるかも!」と思い、さっそく作って息子のサッカー試合の時に、「これを食べると早く走れるよー、いいシュートができるよー。」と差し入れました。
すると準々決勝、準決勝と勝ち上り、ついには「これを食べれば試合に勝てる!」と縁起だんごになりました。
そんな手作りの栄養満点で美味しい「きな粉ゴマだんご」が商品になりました。
平和台のシンボルである「平和の塔」は、実は日本サッカー協会のシンボルマーク「八咫烏(やたがらす)」をデザインした日名子実三さんがデザインしており、平和台とサッカーの意外な共通点もあったりします。
そんなご縁からサッカー少年、少女が平和台から羽ばたいてほしいと思いを込め、きな粉ゴマだんごを11個入りにして、きなこイレブンと商品名をつけ販売を始めました。
私もこのきなこイレブンをいただきましたが、きなこと黒糖の優しい甘みと胡麻の相性がとても良く、一度食べ始めるとついつい1つまた1つと手が伸びてしまいました。
身体に良くて食べても罪悪感のない美味しいお菓子って最高ですよね!
みんなに伝えたい宮崎の生産者さん
岩切さんに皆さんにお伝えしたい宮崎の生産者さんを厳選して、紹介していただきました。
今回は「木と漆の工房 みやくに」さんです。
みやくにさんでは、手彫り・漆仕上げの木製スプーン・フォークを制作しています。
国産の楓・欅、ヒノキは宮崎県産を使用しているそうです。
「工業製品でパッと切ったものではなく、自らの手で形を作っていくからこその絶妙なカーブが人を心地よく感じさせる。そういう良さを皆さんに感じてもらいたい。」とおっしゃっていました。
軽くて、すっと手になじむ感覚で、一度口に入れるとその滑らかさ、柔らかさにみんな驚くそうです。
心地よいなめらかさは、同じものを食べても美味しく感じられると評判です。
私もみやくにさんが作っている「ひのきレンゲスプーン」を実際に触らせていただきましたが、手で触れるところ・口で触れるところ全てが滑らかで優しかったです。
そしてなんと言っても他のスプーンと比べ、とても軽いんです!
本当に木で作られているの!?と思ってしまうほどでした。
普段使いにも、大切な方へのプレゼントにもうってつけです。
今回は「木と漆の工房 みやくに」さんについてご紹介していていただきましたが、宮崎の生産者さんはたくさんいらっしゃるので、他の方もまたご紹介していけたらと思います!
他にも、岩切さんは「宮崎の在来種の麦や大豆、野菜などその土地に合った土地の食材を復活させて栽培している生産者さんたちは尊い存在だ。」と話していました。
そんな素敵な活動をしている方々のお話も聞けたらいいな、と考えが膨らむばかりです。
インタビューを通して
ひむか村の宝箱には、もう何度か訪れて岩切さんとお話をしたり買い物をしているんですが、岩切さんからはいつも商品に対する愛情を感じ、ほっこりした温かい気持ちになります。
私自身の話にはなりますが、私はとてもおばあちゃん子で、私が小さい頃は梅干しは祖母が作っていて家では祖母が作ったものしか食べておらず、それが私は大好きでした。
そんな大好きな祖母は現在は施設に入っており、私のことももう覚えておらずコロナ禍ということもあり、会うことも叶いません。
そんな中、ひむか村の宝箱に訪れると東米良の梅干しが置いてありました。
綺麗なピンク色の昔ながらの梅干しで、祖母のことを思い出して懐かしい気持ちになり、即決で購入しお家で食べました。
すると食べた瞬間、祖母との楽しく懐かしい思い出が溢れ出てきて、ポロポロと涙が止まりませんでした。
現代は大量生産・大量消費の時代だけれど、やはり人の心に響くのは人の手で手間暇かけて作られたものですね。祖母も私たちに安心・安全なものを食べさせるために、たくさんの手間と時間をかけて作ってくれていたのだろうと思います。
ここのお店で取り扱っている商品は、宮崎の生産者さんたちが手間暇かけて丁寧に作られたものばかりです。
お店のパンフレットには「おかえりなさい、懐かしい未来へようこそ」とあります。
皆さんも宮崎の生産者さんのこだわった商品に触れて、新しいけど懐かしい、ほっこりした気持ちになれるひむか村の宝箱に訪れてみてはいかがでしょうか。
ひむか村の宝箱の詳細
【公式HP】
【公式SNS】
Instagram→@himukamuranotakarabako
Facebook→ひむか村の宝箱
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